ゲーム

野狗子-SlitterHead-クリア感想 素晴らしいコンセプトと、物足りなさ

野狗子-SlitterHead-をクリア ハード、ナイトメア難易度クリア以外の実績を集めて23時間ほど。

ホラーゲーム・・・に見せかけたアクションゲーム。 プレイヤーは生命体に憑りつき、支配する慿鬼と呼ばれる謎の存在となり、巨大都市をうごめく怪物、野狗子を狩っていく。

Steam:野狗子: Slitterhead

以下ネタバレ前回の感想ばかり書いていくのでご了承ください。

面白さ

このゲームの面白さは何といっても慿鬼となって野狗子と戦うゲームシステムにある。 慿鬼である主人公に実体はないが、憑りついた人間を意のままに操ることができる。この力を使い周囲に人間に憑りつき戦うことになる。

このシステムによって、肉体が致命傷を負う前に新しい肉体に憑りつきダメージを回避する、逃げる敵を逃走先の肉体に乗り移って阻止する、一つの肉体をおとりにして背後から攻撃する、など怪異らしい様々な戦い方ができるようになる。 そして、人間たちの中には慿鬼に憑りつかれながらも意識を保つ希少体が存在している。彼らと融合し、固有のスキルを使いながら巨大都市、九龍を駆け巡り、人間に化けながら街にはびこる怪物、野狗子を探し出し、狩ることになる。

超人的なスキルを扱うゲームは多々あるが、人間でない存在であることを最大限に生かしながら戦うことを前提として設計されたゲームプレイは独特かつ面白く、九龍城砦をモデルに作られた猥雑な巨大都市は未知の怪異や人に化けた怪物たちの暗闘の場として最適であり、まさに伝奇物語を自分の手で遊ぶことができる。

物足りない点

このように、コンセプトは満点ともいえる作品なのだが、残念な点もかなり多い。最大の物はやはりシナリオ。このゲームでは3日間を何度もタイムリープするという設定でプレイしていくのだが、物語として面白いというよりは素材を使いまわす言い訳として機能しているところがある。 精密に描かれた都市はかなりの工数がかかっていることがわかるし、それをいくつも用意することなどできないのはよくわかるのだが、あまり物語の整合性が取れないタイムリープものにしなくてもよかったように思う。

また、操作キャラとして何人もの希少体が現れるのがが、メインシナリオに絡むのはジュリー、アレックスの二人で進行し、序盤でアニタの因縁が描かれるくらいである。それはいいのだが、彼らが日常であれ戦場であれ互いに交流を持つシーンが少なすぎるせいで、彼ら(そして慿鬼)の行動に説得力が薄くなってしまっている。ゲームシステム上、彼らの交流を描くのが難しいのはわかるがもう少し頑張ってほしかった。

そしてゲームプレイでの欠点として、とにかく敵が逃げる。ほとんどの場合、敵のHPをある程度削ると逃走し、街中を追いかけっこする羽目になる。そこまではいいのだが、敵を足止めする手段が一つくらいしかない(そしてあまり効いている実感がない)。追いかけっこには時間制限や距離制限がついている場合がほとんどなのだが、どうにか近くの人間に憑りつき一発いれて、また逃げられたら近くに憑りついて一発いれて・・・を繰り返す作業になり、何度もやっているとさすがに嫌になってくる。 また、最終的に巻き添えで死ぬ一般人の数を抑えてクリアする必要が出てくるのだが、囮戦法が最も安定していたり、一般人を時限爆弾にして特攻させるスキルがあるのに最後の最後でそれをいうか・・・?という思いの方が強くなってくる。

などなど、どうにも終盤に行くほどコンセプトに追いついていない物足りなさのほうが勝ってきてしまう。

総評

このタイトルは比較的小規模なディベロッパーが開発したゲームである。だから、途中からどんどんリソース不足が目立ってしまうもの致し方ないのかもしれない。

それでも、慿鬼となって魔都の闇に潜む感覚、無名の一般人たちに憑りつき奇怪な怪物を狩りたてるゲームプレイ、血の力を操る王道だがぞくぞくするスキルたち、などなどコンセプトはやはり素晴らしいゲームだった。

本編中でも最初の路地裏に転がる死体や様々な方法で人間社会に潜む野狗子達、そしてラストの旅客機のシーンなど、素晴らしいと感じたシーンはいくつもあった。 Steamレビューも持ち直し、非常に好評にまでなったので、次回作を心待ちにしたい。