#ホラー

7件

ゲーム

野狗子-SlitterHead-クリア感想 素晴らしいコンセプトと、物足りなさ

野狗子-SlitterHead-をクリア ハード、ナイトメア難易度クリア以外の実績を集めて23時間ほど。 ホラーゲーム・・・に見せかけたアクションゲーム。 プレイヤーは生命体に憑りつき、支配する慿鬼と呼ばれる謎の存在となり、巨大都市をうごめく怪物、野狗子を狩っていく。 Steam:野狗子: Slitterhead 以下ネタバレ前回の感想ばかり書いていくのでご了承ください。

無名祭祀 感想

ロバート・E・ハワードのクトゥルフ神話集、「無名祭祀」を読み終えた。 無名祭祀 クトゥルー神話原典集成 「剣と魔法の時代」というものを生み出した人物の一人であり、生前ラヴクラフトとも親交があったロバート・E・ハワードが書いたクトゥルフ神話ものを一冊にまとめたもの。ボリュームは驚異の600ページ越え。 主に剣と魔法の時代ものと、現代伝奇もの(とはいえ書かれたのが100年近く前なのでその時点での「現代」だが)に分けられる。 剣と魔法の時代ものでは「ハイボリア時代」というハワードの代表的なシリーズ「蛮勇コナン」(未読です)や古代ローマ時代、バイキング時代などにうごめく太古の怪物が、現代伝奇ものでは20世紀アメリカ、ヨーロッパで起こる奇妙な出来事を描いている。 もともと強い男性が敵を倒す、ヒロイックな物語を書いている人物であるだけあり、ラヴクラフトの陰鬱とした物語と比較して邪悪な妖術師との対決や怪物に立ち向かう人間など、などより分かりやすく力強い物語になっている。 クトゥルフ神話TRPGなどの昨今のクトゥルフ神話ものの源流はこちらの影響もあるのかもしれない。 以下ネタバレ全開

黄衣の王 感想

「SIGNALIS」というSFホラーゲームをプレイし、「黄衣の王」がクトゥルフ神話の架空の産物ではなくクトゥルフ神話誕生以前から存在する短編集だと初めて知った。

時間のないホテル

今回は前回時間SFを紹介したおまけで「時間のないホテル」を紹介したいと思います。ただこれはSFというよりは超常現象を扱ったホラーです。僕基準ではそこまで怖くなくむしろ幻想小説だと思ったのですが一応言っておきます。 ホテルでホラーと言えば歴史を感じる古びたホテルを思い浮かべる人が多いかもしれませんが(僕はミステリの方が好きなのでそういう舞台設定だと連続殺人の方が先に浮かびますけど)、この物語で舞台になるのは建設された直後の国際チェーンホテルです。主人公、ニール・ダブルの仕事は世界中の見本市に様々な会社の代理人として出席する仕事。違法ではありませんが、開催される見本市の規約には違反していることが多く、あまりいい目では見られていません。そんな彼はコンベンションセンターと直結した大手チェーン系ホテル「ウェン・イン」に宿泊します。そこで彼は仕事をしながら見本市の会場と客室を行ったり来たりする3日を過ごすはずでした。しかし彼の前に現れた女性がチェーン店である世界中のホテル全てがつながっている、という奇妙な秘密をささやきます。眠れず夜中に部屋を出た彼は廊下の果てに行きつくことはなかったのでした… 世界中の大都市の写真を見ると分かるように、いま世界中にほとんど同じような建築物が山ほどあります。特にチェーン店のホテルは世界のどこに行ってもほとんど同じ内装と全く同じサービスを提供してくれます。そんな時代だからこそ生まれた作品だと言えるでしょう。著者はイギリスで建築・デザイン関係のライターとしても活動している人物で、この物語でもホテルという巨大建造物に対する愛が感じられます。 何処までも続き、意思があるかのように世界中に拡大を続ける巨大ホテルとそこに囚われた主人公の物語は古びたホテルや廃墟のような薄暗い不気味さや生々しさを感じさせるホラーではなく、清潔感にあふれ煌々と照明が輝くからこその独特な恐怖と幻想性を見せてくれます。 無機質で清潔、無個性であるとも誰にでも受け入れられるともいえ、代わり映えがしないともどこでも同じ安心感があるともいえる、ある意味とても身近な存在である近代建築の中で繰り広げられる幻想物語です。 時間のないホテル - ウィル・ワイルズ/茂木健 訳|東京創元社

幽霊狩人カーナッキの事件簿

そんなわけで今回はSFではなくオカルト系フィクション、「幽霊狩人カーナッキの事件簿」を紹介したいと思います。 出版は1914年と100年以上前の本ですが訳が読みやすいので今でも普通に面白く読めます。 物語の主人公、カーナッキは心霊現象の解決を専門にしている探偵で、彼の下には様々な依頼が寄せられます。この本はそんなカーナッキの解決した事件をまとめた短編集です。 この短編集の面白いところは本物の心霊現象とトリックを駆使した人為的な事件が混ざり合っていることです。よって読者は最後まで本当の怪奇事件なのか人間の仕業なのかはらはらしながら読むことになります。怪異に見せかけた殺人事件や不可能犯罪はミステリの醍醐味の一つですが、それに本物のホラーが加わる可能性まで混ざるのはこの作品の特有の魅力でしょう。 それともう一つ個人的に好きなのはカーナッキ本人に特別な能力が何もないという点です。怪異に対しては時折言及されるいくつかのオカルト文献などから得た知識によって立ち向かいますが、彼自身に人に見えないものを見たりそれらに干渉したりするような超常の力はなく、しかも人並みに怖がりなので(場数を踏んでいるので冷静に対処はしますが)毎回そこそこびくびくしながら対処に当たります。一般人よりは詳しいけれど超力者でもないプロとして怪事件に挑むのは読んでいてとても面白いです。 個人的に好きな短編を上げておくと 一番最初の一晩こもると短剣に刺される礼拝堂の謎を解く、この短編集の魅力をわかりやすく伝えてくれる一編、礼拝堂の怪、作者のホジスンの船員としての体験がふんだんに盛り込まれた魔界の恐怖、真空管駆動魔方陣というロマンアイテムが大活躍する異次元の豚あたりでしょうか。 ホジスンはクトゥルフ神話の創始者であるラヴクラフトなどにも影響を与えたとされる作家であり、クトゥルフ神話に興味のある人もその源流となった作品に触れてみると面白いかもしれません。現状紙の本の入手が難しいのですが、電子版の発売が決定しているそうなので発売されたら是非どうぞ。 W・H・ホジスン『幽霊狩人カーナッキの事件簿』電子版予定! - どんぺりもってこい3

ゲーム・キッズ

今回はホラー風味のSFショートショート集、ゲーム・キッズシリーズを紹介したいと思います。 このシリーズは1999年のゲーム・キッズ、2000年のゲーム・キッズ、2999年のゲーム・キッズ、2013年のゲーム・キッズ、令和元年のゲーム・キッズの計5作品が存在します。 令和元年のゲーム・キッズの存在は僕も初めて知ったので今度読もうと思います。 基本的にこれらの作品は発売当時に注目されていた最先端の科学技術を題材にした短編小説集で、全体的に後味の悪いものやホラー色の強いものが多いのが特徴です。ショートショート形式なのでテンポが速く、サクサク読めるのもうれしいところです。出てくる技術も書かれた当時に注目されていたものなので、登場人物たちの性格とともに絶妙に現実的で嫌なリアリティがあります。 どの本に収録されていたか覚えていないのですが、個人的に気に入っているのがある日役所に呼ばれて国民を仮想世界に移住させる計画に参加しないか、と提案される人物の話と、理想の女の子と出会えるまでコールドスリープできるマッチングサービスの話です。どちらもオチが秀逸なのでぜひ読んでほしいです。 第1作、1999年のゲーム・キッズは以下のリンクから(全部かはわかりませんが)読むことができます。僕も読み返して嫌な気分になったので皆さんも同じ気分を味わってください。 ショートショートなので試験勉強の合間にサクッと読めますよ。 999年のゲーム・キッズ | 最前線 - フィクション・コミック・Webエンターテイメント

夜の声

今回はSFから少々離れて東京創元社の復刊フェアで復刊されたホラー短編集「夜の声」を紹介しようと思います。 以前同じ作者の書いた「幽霊狩人カーナッキの事件簿」を紹介しましたが、この短編集では作者ホジスンの船乗りとしての経験をもとに書かれた海洋系のホラー小説がメインとなります。 表題作「夜の声」では主人公は航海中の夜、どこからか老人の声を聞きます。決して明かりをつけるなと言いつつ食料を要求する老人に同情し分け与えると、老人は遭難し流れついた島で自身と恋人に起きた身の毛もよだつ物語を語り始めます。さて、実際に読んでみるとその方面に詳しい方なら「マタンゴ」という映画が思い浮かぶと思うのですが、その映画の原作です。「マタンゴ」と聞いて内容がわかる方は身の毛もよだつ物語の内容もなんとなくわかるでしょう。それと明かりをつけるなという理由とか。 ホジスンは少年時代を厳しい経済状況ゆえに船乗りとして過ごすことになり、なおかつ先輩に虐待され過ごしたた経験から海に対し恐れと憧憬を抱くことになったといわれています。そのためこの短編集では最後の「水槽の恐怖」以外すべて航海中に奇妙なものに遭遇するという筋書きになっています。 さて、これらのホラー小説が怖いかと聞かれれば少なくとも僕の基準ではそこまで怖くはないです。むしろ大海原に対して人の抱く恐怖、そしてそこから生まれる想像が興味深い、といったほうが適切でしょうか。 またアイディア自体も現代となっては使い古された感のあるものがところどころみられますが、そもそもホジスンが活動していたのは1900年代から1910年代という100年以上前の作家です。そんな作家の書くホラー小説に現代でも通じる、また現代でもまだ斬新さを保っている作品が多くあるのは十分に素晴らしいことでしょう。 ホジスンはクトゥルフ神話の創始者であるラヴクラフトが影響を公言している作家でもあり、彼の想像力は現代でも十分に通用します。ぜひこの機会に読んでみてください。