#ノンフィクション

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未完の計画機

「未完の計画機ー命をかけて歴史を作った影の航空機たち―」は様々な理由で開発計画が中止された航空機たちを特集したノンフィクションです。 正直あまり飛行機について詳しくはないので有名な機体が紹介されている、みたいな話はできないのですが、原子力を動力と爆撃機や時代に先駆けすぎて制御しきれなかった戦闘機、マッハ2で飛ぶ爆撃機(爆撃機が多いのは冷戦時代の機体が多いからです)など様々な飛行機の紹介を読むだけでも楽しいですし、お蔵入りになったそれぞれの理由を知ればサークルでの活動に通じるものがあるかもしれません。 今日の航空機の発展の裏にある失敗しても確実に後世に知見を残した飛行機たちに思いをはせてみてください。 ちなみにVTOL機を特集した未完の計画機2、最新刊の未完の計画機3(僕も今知った)も発売されています。 未完の計画機 - イカロス出版 イカロス出版の本

エイリアン 科学者たちが語る地球外生命体

ノンフィクションのコーナーです。 今回紹介するのは「エイリアン 科学者たちが語る地球外生命体」です。 この本は地球外生命体、いわゆるエイリアンについて化学、物理学、生物学、天文学、心理学など様々な分野の専門家たちが語るアンソロジーです。 まず第1部では地球に宇宙人だ現れる可能性について論じます。なぜ宇宙人が地球に来るかを考えてみる宇宙生物学者、UFOの目撃談と陰謀論の歴史を振り返り検証していく科学番組司会者、発達しながらも人間とはかなり異なる神経構造を持つタコの考察、などが含まれます。 第2部以降からは他の星の生命について考察していきます。 第2部では惑星に生命が住める条件やSF小説のエイリアンなどについて考察します。 第3部では地球の生命を参考に、生命はどのくらい発生しやすいのか、他の惑星ではどのくらいの確率で生命が発生するのかに迫っていきます。生命が誕生し、知的生命に発達するまでにどのくらいの化学反応が必要か、その反応が発生する確率がどれくらいなのかなどについて主に化学者や生物学者たちが見解を述べます。 最後となる第4部では実際に地球外生命体を探す方法やプロジェクトについて言及します。系外惑星の大気による吸収スペクトルを観測するなど、サークルの人であれば聞いたことのある手法かも知れませんが、他にも様々な科学者が色々な意見を述べています。 全体としてページ数は多いですが、アンソロジー形式なので一つ一つは比較的短く、かつ読みやすくまとまっています。 エイリアン──科学者たちが語る地球外生命 | ジム・アル=カリーリ, ジム・アル=カリーリ, 斉藤隆央 |本 | 通販 | Amazon

魔王:奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男

久しぶりのノンフィクションのコーナーです。 今回紹介するのは「魔王:奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男」です。 黒人差別関連のデモで大きく揺れているアメリカですが、そのほかにもオピオイド系鎮痛薬の乱用が社会問題になっています。医師の処方箋さえあれば合法的に手に入るこの鎮痛薬には常習性があり、全米で1000万人を超える乱用者がいると推定されています。 医師が気軽に患者に処方箋を出し、更には余裕をもって処方された患者がそれを転売するなどの方法でネット上に出回っています。しかし今回の物語の主人公?ポール・ル・ルーはそれにとどまらない巧妙なシステムを生み出します。彼は暗号化されたネットワークを作り、各地の医師や薬局の薬剤師を集めました。オピオイドの欲しい患者は自身の病状をオンラインで登録します。するとその病状はネットワークにつながった医師の誰かに送られ、その医師は送られた病状をもとに診断を下し処方箋を書きます。その処方箋は再びネットワーク上の薬剤師に送られオピオイドが処方され患者に届けられるわけです。医師も薬剤師もネットワークの全体像を把握していないので巨額の利益を上げる違法ギリギリの企業に取り込まれていることに気付いたものはいませんでした。この本にはネットワークの構成員が何人か逮捕され登場しますが、彼らはオンライン医療に将来を感じた若い医師や長年続けてきた個人薬局が時代に取り残され閉店を考えていた時に営業マンにアプローチを受けた老店主などばかりです。 本書ではそんな巨大ネットワークを作り巨額の利益を上げるだけでは飽き足らず、ソマリアに傭兵団を作ったり殺し屋を雇ったり北朝鮮の覚せい剤取引にも手を出すなど、あらゆる犯罪に手を出す組織を作り上げた人物、ポール・ル・ルーと彼が生み出した巨大な犯罪組織をめぐる様々な人物を追ったノンフィクションです。 この組織の面白いところは組織の全体像を把握しているのがポール以外にはほとんどいないことでしょうか。世界各地に散らばる構成員たちは彼から直接命令を受け行動します。本物の汚れ仕事をしている人以外、自分たちがどこか後ろ暗い仕事をしていることにうすうす感づいていますが大抵貧困層の人物なので高給の支払われる仕事を辞めることはできませんでした。 さて、長いこと誰にも気づかれなかったオピオイド取引ネットワークですが、新人麻薬捜査官二人がある日存在に気付くところから本書は始まります。彼らの執念深い捜査によりやがて巨大な組織の全貌が明らかになっていく一方、犯罪グループ側の人物の証言でポールの突飛な様々な計画の舞台裏をみられます。彼らの攻防はまさに現実は小説より奇なりといったところです。ただどうにも関係者が多く、章ごとに視点人物がしょっちゅう入れ替わるので読みづらいのも事実です。 アフリカで天才コンピュータ少年だったポールの築き上げた巨大な帝国の全貌、ぜひ読んでみてください。

人体冷凍 不死販売財団の恐怖

久しぶりのノンフィクションのコーナーです。今回紹介するのは「人体冷凍 不死販売財団の恐怖」です。 アメリカでは死後に人体を冷凍し将来復活することにかけるという活動があるのを知っているでしょうか?人体を冷凍するときに体内の水が細胞膜を突き破るので保存は難しい、みたいな話もありますが、今でも一定の支持を受けています。科学関係の分野ではたまに話題に上るし、冷凍睡眠はよくSFのネタになるのでサークルの人ならそこそこ知っているのではないかと思います。 この本ではそんな死後の死体の冷凍を行う組織の一つ、「アルコ―財団」に勤務した一人の職員が内部告発として書いた本です。 筆者の元の職業は救急救命士でした。ラスベガスの救急救命士という極めて危険な仕事を25年も続けてきた筆者でしたが、さすがに限界を感じ転職先を探し始めます。危険やスリルに飢えた性格をしている筆者はある日目にしたアルコ―財団の事業内容にひかれ、凍った道路での事故率低減や移植用臓器の冷凍と解凍などこれまで救急救命士としてみてきた様々な悲劇を防げるかもしれない研究をできると言われ務めることになります。 これ以降の文章を書いていたら大分生々しく気持ちの悪いものになってしまったのでスレッドの方に書きます。雑に扱われる死体の話とか胸糞の悪い話をそこそこするので見たくない人はここで止めてください。

アメリカン・プリズン

今回はついでにアメリカでの民営刑務所の実態を描いたノンフィクション、「アメリカン・プリズン」を紹介したいと思います。 日本でも民営化によるコストカットは時々選挙の争点になりますが、アメリカでは刑務所の一部が民間企業により運営されています。民営刑務所は州や連邦政府から囚人に対し一日いくらという金額で契約し、彼らを収監する刑務所を運営しています。しかし一日当たりいくらという支払い体系であるため、運営費を徹底的にカットした方が利益が上がります。そのため囚人たちは劣悪な環境に置かれていました。 著者はかつてイランに取材に行った際国境線に近づきすぎてスパイ容疑でとらえられ2年以上収監されていました。帰国後PTSDを発症した彼は自身の経験と向き合うためにもこの民営刑務所の一つに潜入取材することを決意します。 本書の半分は彼の潜入取材るポタージュで占められており、もう半分では囚人を労働力としてきた歴史が紹介されます。南北戦争がおわり、奴隷制が廃止された南部では安価な労働力を失い経済が疲弊していました。そのための解決策として編み出されたのが黒人を微罪で逮捕し刑罰という名目で強制労働させるというものでした。この南北戦争終結から現代まで続く刑務所で利益を上げる方式の変遷もまた興味深いものがあります。 横暴な刑務所というと看守が囚人に暴力をふるうものを想像するかもしれませんが、民営刑務所のコストカットは職員にも及んでおり、時給は9ドル、基準の人員の半分しかいない職員により運営されています。そのために刑務所では看守と囚人の奇妙な協力関係が生まれています。もちろん看守は囚人になめられないために高圧的にふるまったり、もともと高圧的な性格の人物も(特に上層部に)いますが、彼らも囚人の意向を簡単に無視することはできません。そもそもコストカットのために警棒も催涙スプレーも与えられていないので囚人に囲まれたら抵抗はできないのです。 そんな刑務所で暮らすうちに次第に著者の性格が変化していく様も描かれ、環境の恐ろしさも体感させられます。 アメリカン・プリズン 潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス - シェーン・バウアー/満園真木 訳|東京創元社

スペース・コロニー 宇宙で暮らす方法

今回は宇宙物の趣向を変えてノンフィクション、「スペース・コロニー 宇宙で暮らす方法」を紹介しようと思います。 今年の5月に発売されたブルーバックスで、現在研究中の宇宙で暮らすための技術が著者の研究を含め紹介されています。 第1章はこれまでの宇宙開発と現在計画されている宇宙開発計画を概観、その実現のために求められる技術を簡単に解説します。 第2章ではこれまでわかっている宇宙に滞在することが人体へ及ぼす影響について解説します。無重力化での血液循環はどうなるのか、なぜ筋肉は委縮するのか、宇宙船という閉鎖環境に閉じ込められた際の精神への影響など興味深いトピックスが並んでいます。 そのご、宇宙で暮らすためのウェアラブルデバイスや宇宙農業の研究、電力源や水・空気の再生技術ついてそれぞれ各1章づつ解説していきます。 当然各技術の具体的な記述は限定的なものになってしまいますが、人類が宇宙に進出する際の問題点と現在考えられている解決策がおおよそ網羅されており、宇宙技術について興味を持った人が最初に読む入門書としてはかなり良いものになっているのではないでしょうか。 最新の宇宙技術に興味があるという方、まずこの本を読んでみてはいかがでしょうか。