ネトフリアニメ リヴァイアサン感想 美しいが物足りない

以前紹介した小説、リヴァイアサンシリーズのネトフリアニメが随分前に公開されました。

リヴァイアサンを観る | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

ということで感想を。

小説版の感想は以前にも書いたが、遺伝子改造された生物を操るイギリスやフランスを中心としたダーウィニスト、スチームパンクなメカを扱うドイツを中心としたクランカーが対立を深めつつある1900年代初頭、第一次大戦前夜の世界が舞台。サラエボ事件で暗殺されたオーストリア国王夫妻の子供、皇子アレックと、イギリス軍に性別を偽って入隊した少女デリンの二人が主人公。 アレックが身をひそめる山奥に、イギリスの飛行船(遺伝子操作されたクジラでできている)が不時着し、出会った二人はドイツ軍から逃れながら、世界大戦を食い止めるために世界中を奔走することになる、というのが大まかなストーリー。 まずはデザイン。本編でも美麗な挿絵が物語を彩った作品だったが、ダーウィニストが操る生物は様々なクリーチャーのデザインを手掛ける山本れぇが担当。

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すでにいる生物をもとに、さまざな機能を人工的に足して使役されている生物が、かなりのリアリティをもって描かれている。

クランカーのメカも、原作の挿絵の雰囲気をうまく再現している。スチームパンクメカががちゃがちゃ動いてくれるアニメはめったにないので、非常に貴重。 二足歩行のウォーカーから戦艦、最終的には潜水多脚メカまでいろいろ出てきてくれるのでうれしい。 ダーウィニストの動物も、クランカーのメカもアクションシーンではしっかり動いてくれるので、それだけでも見る価値のあるアニメだと思う。

以下、ストーリーについてのネタバレ全開

とはいえ、脚本については全体的に尺の足りなさが否めない。もともと全3巻の小説なのだが、1巻1巻がかなり濃密な作品。縦長で文字の小さい変わった形の本なのでページ数が薄く見えるのだが、文庫などにするとかなり分厚いのではなかろうか。 それを全12話にまとめるというのはなかなか厳しいものがある。正直、発表を聞いたときには12話で1巻の内容をやって人気が出たら次のクールをやるものだと思っていた。しかし、それをやるとデリンとアレックが出会って旅に出るところで話が終わってしまう… しかし、その尺の足りなさがそのまま脚本の甘さに直結してしまっている。デリンとアレックが旅に出るところまでを端折るの(と、途中の寄り道である日本編を丸々カットするの)は仕方がないとしても、オスマン帝国編ではレジスタンス側に付く理由がかなり弱くなってしまっている。 そしてラストシーン、原作ではデリンとアレックは結ばれて、アレックは皇太子としての地位を放棄し二人は博士の助手として、イギリスの諜報機関のエージェントのような立ち位置になる。今の時代に最後に幸せなキスをして終了、というのはあまりやりたくない、というのは分かる。デリンはまさしく女性の解放を目指すキャラクターでもある。とはいえ、アニメ版ではデリンは博士の助手として仕事を続ける一方、アレックは皇太子として戦火の渦中のオーストリアに戻る。ある意味、性別と身分というそれぞれの責任に束縛されていた二人が落としどころを見つけて次の未来に踏みだした原作と比較し、片方だけが旧来の世界のしがらみに縛られ続けることになるアニメ版のエンディングの納得感は薄い。

色々書いてしまったが、人造生物と巨大メカの対決や巨大生物リヴァイアサンに乗っての旅、王道のボーイミーツガールなど、楽しく見れてここだけでしか味わえない画も多い。 ネットフリックスに入っていて、スチームパンクが見たい人はぜひ見てほしい。 原作もおすすめです。

リヴァイアサン―クジラと蒸気機関―: 書籍- 早川書房オフィシャルサイト|ミステリ・SF・海外文学・ノンフィクションの世界へ

ベヒモス―クラーケンと潜水艦―: 書籍- 早川書房オフィシャルサイト|ミステリ・SF・海外文学・ノンフィクションの世界へ

ゴリアテ―ロリスと電磁兵器―: 書籍- 早川書房オフィシャルサイト|ミステリ・SF・海外文学・ノンフィクションの世界へ